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【におい】
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「っ...やだ。」
「なんで。」
「…なんでも..ぉ、、」
せきは体育がある日、人に近づかれるのを嫌がる。
男子のくせに人に抱きつく癖がある甘えたちゃんなせきは自分の匂いを乙女のように気にする。
そういう日はましろやかえでにも抱きつかないらしい。
もちろんえるにも。
そんな体育のあったお昼。
えるは今日もからかってやろうとお弁当を食べてるせきに抱きついた。
「んっ!?」
食べてる最中だったからか、驚いて咽かけるせき。
「?」
しかしえるは抱きついた時違和感を感じた。
いつもと匂いが違う...?
せきを見上げると顔を真っ赤にして固まっていた。少し不安げで、でもいつもみたいに抵抗はしない。
「…なんか塗った?」
そう言った途端、一瞬安心したような顔を見せたかと思うと元気よく喋り始めた。
「おっ!実はねぇ..新しい汗ふきシート買ったの!ラズベリーミントのやつ!どう?甘い匂いする??」
と、はしゃいで話すせき。
「女子か。」
その勝ち誇った顔なんか悔しいな、、
そこでえるはある事に気付いた。
そしておもむろに立ち上がり、せきの後ろに立つ。頭にハテナマークを付けてるせきに対し、お構い無しに背中に抱きついた。
「!?!?」
途端に顔が青ざめるせき。
「(やっぱりな、、)」
いくら汗ふきシートで身体を拭いてたとしても背中までは注意がいかなかったのだ。
そのままがっしりホールドで離れられないようにするえる。
「なっ、ちょ...っ!える、!やめ...」
わたわたとえるの腕を引き剥がそうとするが、普段抱きつかないえるに抱きつかれることは正直嬉しい。それに例え力で勝ててもえるの腕を傷付けてしまうのではないかと不安になり、中々力が出せなかった。
結局諦めたせきはそのまま抱きつかれている。
むぎゅむぎゅとしてるえるは死ぬ程可愛いが、自分のにおいが気になってそれどころではない。
…とか、思ってるんだろうなぁ...せきは。
青ざめた顔してどこに手をやればいいのか分からず空中でわたわたとしているせきは相変わらず面白い。
それにしても――
ふわっ...
うん、やっぱり…
「…この匂いが一番好き。」
「〜〜〜〜〜〜〜っ!!!」
うっかり声に出してしまったそのセリフを聞いたせきは先程と一転し、真っ赤な顔で驚いていた。
「おやおやぁ?せきさんお顔が真っ赤ですよぉ?」
「…たった今誰かさんに告白されましたからねぇ...」
真っ赤な顔を隠すように腕を口元にあてるせき。目線は合わさず強気で言い返す姿はなんとも可愛らしかった。そんなせきにキスしようと顔を向かせると、甘いの匂いも一緒に振り向く。
ちゅ..と、軽く触れ合う唇。せきを見ようと顔を上げると目を最大限に閉じて硬直していた。
「ん、可愛い(笑)」
キャパオーバーしたせきを笑って叩いた後、席に戻り食べかけのお弁当に箸をつけた。
うん、甘い匂いもたまにはいい。
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