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はだかの王子様3
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本日もまた、王宮を抜け出して楽しそうに歩き回っておられます。
「よぉ!ライ坊!元気か?」
「元気だよ。ガンジさんも元気そうだね」
この威勢のいい、口髭を蓄えたお方は、街で果物屋を営んでおりライル様が初めてお友達になられたお方です。
「りんご、2つちょうだい」
「あいよ!またフラーじいさんのとこかい?」
「うん。今日は僕の誕生日だからお祝いしてくれるんだって」
「なんだ!ライ坊誕生日か!そいつはめでてぇな!りんご2つじゃ足りねぇな!こいつも持って行きな!」
店先からガンジ様が幾つか果物をライル様に渡されると、周りにいた方々もライル様の誕生を心から祝福してくださいました。
「ありがと…みんな」
ライル様は、ここでは皆に好かれる普通の男の子でいられるのです。
「フラーさん!フラーさん!みんなからこんなにお祝いもらったよ!」
ライル様は毎日のように、このフラーと呼ばれるご老体のところへと足を運ばれます。
真っ白な御髪と長いお髭は、まるでいにしえの魔法使いを思わせるお姿でございます。
「そうですか、よかったですなぁライル様。あなたは皆に愛されておられる」
「はい!…でもみんなに隠し事をしているのは辛いですね」
ライル様のご身分は、このフラー様しかご存じないのです。
「そうですなぁ…」
フラー様は優しく微笑まれると、何か思い出されたのかポンっとお膝を叩かれました。
「そうじゃった、そうじゃった。わたしもあなたにプレゼントがあるのです」
「えっ?何ですか?」
その言葉に、暗くなられたお顔もまた可愛らしい笑顔を取り戻されました。
「さぁ。入りなさい」
「?」
あぁ
やっとあなた様と直接お話ができるのですね。
「失礼いたします」
「わたしからの誕生日プレゼントです」
「お初目にかかります。執事のエドワード・J・フラーでございます」
皆様も、以後お見知り置きを。
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