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執事。エドワードの追憶、そして真実
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「…今、なんて?」
「ニコライが死んだ」
真夜中、ホープ城の一室。
部屋の扉には
ニコライ
ユーフォリア
アル
バル
エドワード
と刻まれている。
ランプの灯りがゆらゆらと揺れ、部屋に集まった5人の男たちの影を揺らした。
「フラーさん、何かの間違いですよね?確か今日はファイム王子の婚約パーティだったはず、」
窓際に立った若者が困ったように眉を下げる。
「…バル」
その隣にいた瓜二つの若者が静かに声をかける。
「…フラーさんが、今まで間違えたことなんて一度もない、だよな?アル」
若者の言葉を継いで机に腰掛けた赤毛の大柄な男が呟く。
「…どうしてですか?」
それまで黙っていた美しい顔をした男が顔を上げた。
「ニコライは何故死んだのですか。ニコライはファイム様の護衛をすると、張り切っていた。なのに」
普段あまり感情を表さないフラーと呼ばれた男が、拳に力を入れた。
「…今から話すことは、城内の内部機密だ。」
「?待って下さい、俺たちは城に仕えていない部外者だ。話したことがバレたらフラーさんは」
「承知している。それでもだ。私にとってお前たちは、家族なのだから」
フラーの言葉に皆顔を上げる。
「ニコライはファイム様のご婚約セレモニーの最中に何者かによって殺された」
「っ⁉︎」
「このことはアリア様とニコライの護衛によって守られたファイム様の婚約者様、アメリア様しか知らない」
「…護衛によって?ということはニコライはそのアメリア様を庇って?」
「恐らく。だが、恐怖で彼女の証言は曖昧で犯人の検討も着かないとのこと。」
「ファイム王子は?」
エドワードはニコライの表情を思い出していた。
ファイム王子の話をするときの誇らし気でどこか寂しげな。
「…ファイム様はご存じない。アリア様のご判断だ。」
「アリアの?」
「実は数日前からニコライの要望によりアリア様の執事をしていた」
「ニコライの要望?」
あれほどまでにファイム王子を慕っていたニコライの突然の行動に、アリアとフラーは困惑したという。
「…だが、理由を聞いてアリア様は納得された。」
「理由って?」
フラーは近くにあった椅子に腰掛けると、全員の顔を見渡し困ったように、だが息子を見つめる父親のような温かな表情で笑った。
「…ニコライは、愛してしまったんだ。お仕えするファイム様を」
そのとき、エドワードはあの日感じたニコライの違和感の原因がなんだったのか理解した。
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