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濡れた体をなんとかしないと風邪をひくかもしれない。
置いておいたバスタオルで少年の髪や体を拭いてやると苦しそうな声の後、ギュッと閉じていた目がうっすらと開く。
「…ん"、っぅ……」
「悪い、起こしたか?」
「ぁ、…ごめん、…なさ、……っ…!」
「あ?あー動くな動くな、おい…っ…」
少年が飛び起きるとソファの端まで寄って顔を真っ青にする。
幼い顔に似合わない表情だ。
…訳ありだろうな、とは思っていたが予想以上に面倒くさいタイプかもしれない。
「…違う、……?」
「違う?」
「ここ、どこ…ですか…?」
「俺の家…兼事務所。心配しなくても俺以外に怖いやつはいないぞ。」
「事務所…?」
「質問攻めだな。そんな大したもんじゃないが探偵事務所だ。別にお前を探してた訳でもなんでもない、たまたま大雨の中死にかけてたから拾ってきただけだ。」
「拾って…」
なにかに気付いたのか少年の様子が落ち着いていく。
怯えていた顔がぽかんとして俺を見つめた。
そして、1度俯くとパッと笑顔になって顔を上げた。
「なるほど、初めまして探偵さん!」
「は…?」
「さっきはごめんね、怖い夢見ちゃっててゴチャゴチャしてた。改めて俺の名前は…」
「お前の名前は?」
笑顔のまま少年が固まる。
そして、首をかしげて不思議そうな顔で一言。
「うーん…なんだっけ。」
と呟いて笑った。
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