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名前を覚えてない?
にこにこ呑気に笑う少年をじっと見てため息をつく。
「それなら家は?」
「どこだっけ」
「親は?」
「誰だっけ」
…記憶喪失か?
あそこに放置される前に相当強いショックをうけたか…それとも、忘れたい何かがあったのか?
「何か覚えてることはないか?」
「うーん、卵焼きの作り方なら覚えてるよ。」
「一般的な知識はあるってことだな。…なるほどな。」
「すごい、探偵さんみたいだね。」
「探偵だからな。あー名前…名前、…なんか仮の名前でいいからつけろ。」
「仮?」
「名前ないと呼べねぇだろ。」
「なるほど。…えぇ、自分の名前自分でつけるの?わかんないよ。」
「それもそうだな。」
ふわふわの茶色い髪、それから大きな目。
首輪と無邪気な笑顔。
…なんかに似てる。
「…あ、ポチ。」
「ポチ?」
「昔飼ってた犬にお前似てる。ポチ(仮)でいいだろ。」
「いーよ、じゃあ俺は今日からポチ!探偵さんは名付け親だね。」
「それで本当によかったのかよ…まぁ、いい。それじゃポチ。…お前どうする?保健所にでも行くか?」
「そのあたりはちゃんと人間扱いしてください。」
冗談っぽく言うと楽しそうに笑う。
記憶をなくす前はどんな子だったんだろう。
この姿はきっと、前の保護者にやられたものだ。
「って言っても、ここにずっと置いておくわけには行かないしな…依頼者でもないし。」
「えーっと、…じゃあなんか探偵さんっぽい依頼でもしたらいい?」
「あぁ、…それが手っ取り早いな。」
「じゃあ、依頼させてよ
俺の記憶を見つけて。探偵さん。」
こうして 俺とポチの
おかしな共同生活が始まった。
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