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もういい時間だ。
今から飯食って寝るか、朝イチで食べるかの二択だ。
俺は別に腹が減ってるわけじゃないから食べるかどうかはポチ次第なんだが。
「ポチ、腹減ってるか?」
「んー…あんまり。」
「それじゃ寝るか。明日起きたらなんか作ってやるよ。」
「はーい!」
「ベッド使え、俺はソファで寝るから。」
「いいの?」
「客は甘えとけ。」
ポチの髪をワシャワシャ撫でて立ち上がる。
暗闇へ携帯の光を向けてポチに手招きをすると、ガシャガシャ鎖を鳴らしながら俺の後をついてくる。
…いや、音は別にいいんだけど。
「それ、引きずったら床に傷つくんじゃないか…?」
「え、…ついてるかな。」
「暗くてわかんねぇな。ま、明日考えるか。ほら、ここベッドだから。」
「…ベッド?」
セミダブルのシンプルなベッドは特に何が置いてるわけでもなくて、本当に寝るためだけにある。
これを見て首を傾げられたらどんなベッドを見せたらいいのかわからない。
「どう見てもベッドだろ。」
「…なるほど、忘れちゃってた。ここに寝転がるんだよね。」
「あぁそうだな。ヘソ出して寝るなよ。」
「はーい。」
「それじゃ、おやすみ。」
「え?」
おやすみ、と言って半分後ろを向いたのに不思議そうな声に引き戻される。
これ以上何を教えたらいいんだ。
寝方か?寝転がる向きか?
「このまま寝るの?」
「…逆にどうやって寝るつもりだったんだよ。」
「うーん…忘れた。このまま、こうやって寝ればいい?」
「そうだ。もう寝方はわかったか?」
「うん。」
「…じゃ、今度こそおやすみ。」
「おやすみなさい、探偵さん。」
寝転がったポチにそう告げてディスクへ戻る。
パソコンの光を浴びて少し考え込む。
不自然な言動が多すぎる。
記憶喪失…っての自体をあんまり理解してるわけではないからあまり何も言えないが。
それでも何か忘れてるだけではない気がする。
…まぁいい、今日は寝よう。
パソコンの電源を切って俺もそのままソファへ寝転がった。
まだ外から聞こえる激しい雨音を聞きながら目を閉じる。
明日から騒がしくなりそうだ。
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