アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
蒸し返すような暑さにとりあえずクーラーをつけ、窓を閉める。
昨日の雨が嘘みたいに外はカンカン照りだ。
ついでに外に干していたタオルを取ってカーテンを閉めてベランダのガラス戸も同じように閉めに行く。
俺がなにかする度にポチはヒョコヒョコ後ろをついてきて覗き込んでくる。
…本当に犬みたいだなコイツ。
「ポチ、先に顔洗ってこいよ。」
「…顔の洗い方忘れた。」
「あ?じゃあ歯磨いてこい。」
「歯の磨き方も忘れた。」
「…じゃあ、アレだ。トイレ行ってこい。」
「忘れた。」
…忘れすぎだろ。
なんで卵焼きの作り方覚えてトイレの仕方忘れてんだ。
それとも前に卵焼き焼くだけの人生でも送ってたのか?
なんて言ってても仕方ない。
「あーわかった、とりあえずトイレ教えるから付いてこい。」
「はーい!」
廊下を歩いてトイレの前までくる。
…教えるってどう教えるんだ。
特にトイレって教えることあるか?
「ポチ、お前トイレ忘れたってどの範囲でだ…?」
「見たら思い出すかも。」
「ここだ、ほら。」
扉を開けて様式のトイレを見せる。
ポチがじっと見てしばらく黙り込むと、コクンと一度頷いて俺に笑顔を向ける。
「思い出した!できる、1人で大丈夫!」
「お?ならよかった、流石にお前にトイレ教えんのは気が引けるからな。それじゃ、終わったら洗面所来いよ。」
「はーい!」
…なるほど、見たら思い出すパターンもあるのか。
それなら案外なんとかなるかもしれない。
歯磨きもしたら思い出すだろ。
パタンと閉じたトイレの扉を見ながら、そんなふうに気楽に考えていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 149