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お散歩
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裾をまくったダボダボのズボン、よくわからないプリントTシャツ、いつのか分からない無駄に高そうなストール。
それにでかくて歩く度にカポカポ言うスニーカーを履いたポチが鏡を見ながら目を輝かせた。
「似合う?」
「…あー、まぁ…前の服よりは。」
「ほんと?嬉しいなぁ。よし、それじゃ早速行こ!」
「あぁ。はぐれるなよ。」
「大丈夫だよ。」
元気よく玄関を飛び出すと、ポチが前を歩き出す。
この事務所の立地は住宅街から少し外れた場所で近くにあるのはコンビニぐらいだ。
コンビニの向こうへ少し行けばショッピングモールがある。
そこで必要なものをまとめて買えばいい。
「ポチ、転けるなよ。」
「大丈夫だって、心配しすぎ。…おっとっと、…」
「言ったそばから…ほらゆっくり歩け。」
「はーい。」
カポカポでかい足音。
行ったり止まったり走り回ったり忙しそうだ。
見てる方が危なっかしくて仕方ない。
それでも顔は変わらず満面の笑みで楽しそうだ。
こういう外の景色さえもコイツの記憶にはないのかもしれない。
「探偵さん、あれなに?」
「信号機だ。赤の時は止まって青の時は進む。」
「真ん中のは?」
「黄色の時は…時と場合による。基本的に渡っていい。余裕がある時はとまれ。」
「はーい!」
見るもの全てを興味津々で見ていくポチを見守りながら後ろを歩いていく。
あんだけ元気に走り回ってても俺を置いて行ったりしない。
うちの犬は優秀だ。
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