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「ちょっとこっち来い。」
「え?」
ポチの手を引いて壁側に寄る。
どうするか。
かと言ってお互いを呼べないのは不便すぎる。
他人に聞かれていいような呼び名をつければいい話なんだが。
「ポチ、いいか?…探偵さんって外で呼ぶのはやめよう。」
「じゃあなんて呼べばいい?ご主人様?」
「もっとやめとけ。」
「えぇ…」
「ついでに俺もポチって呼ぶのやめる。」
「なんで?ポチでいいよ、俺。」
「家ではな。でも外では普通に考えたらおかしい名前なんだよ。」
「難しいね。」
ポチが首を傾げて納得いかなそうにそう言う。
他人の目があるってのがそういう事だから仕方ない。
「…でも、俺ポチって名前好きだよ。」
「は?」
「なんかね。探偵さんに貰ったから好き。」
「…もっとちゃんとした名前、最初から付けてやればよかったな。」
「えへへ、俺、他の人に変に思われたっていいよ。探偵さんは嫌?」
「お前がいいなら、それでいい。」
あんまりにも嬉しそうに言うもんだからいい訳ないだろ、と言おうとしてやめておいた。
もう周りよりは人の目を捨てたはずなのに、まだこんな所で気にしてた。
浮いてたのは俺だけってことだ。
「よし、ポチ。気を取り直していくぞ。」
「うん!」
ポチの髪を撫でて歩き出す。
コイツに、俺だって教えてもらうことがあるんだな。
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