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ふと目が覚める。
…あれ、俺目覚ましつけたか?
顔を上げると部屋は明るくて窓の外は真っ暗だ。
携帯の時計を見ると19:40の文字。
やらかした、完全に寝すぎた。
「おい、ポチ起き…ろ。」
ベッドの上を見てもポチの姿はない。
トイレか?それとも風呂か?
寝ぼけた頭でそんなことを考えるとどこからかいい匂いがしてくる。
この匂い…
「ケチャップライス…?」
眠い頭のまま立ち上がり台所を覗き込む。
台所のカウンターには二人前のオムライスとよくわからないスープ。
そして、ポチが一人フライパンに水がたまるのを見ていた。
「あ、探偵さんおはよ。」
「…おはよう。」
「ご飯出来たよ。もうすぐ起こそうと思ってたんだ。」
「お前が作ったのか…?」
「うん。」
このトイレも風呂も忘れてたような奴がなんでオムライスの作り方は覚えてるんだ?
いや、それで言うと洗い物の仕方を覚えてるのも不思議だ。
「お前、料理は覚えてるのか?」
「うん。冷めないうちに食べよ。美味しくなかったらごめんね。」
「…あぁ、食べる。あっち運んどくぞ。」
「はーい!」
机に並べて 呆然とそれを見る。
出来栄えもすごい。
よく写真で見るような綺麗な卵だ。
いい匂いがしてくる。
「はい、召し上がれ。」
「いただきます。」
スプーンですくって一口食べると、ここ数年ぶりに食べる手作りの味がした。
甘くて優しくて懐かしい味。
あぁ、これが家庭の味ってやつだ。
「…うまい。」
「本当!?よかった。オムライスは得意なんだ。」
「へぇ。記憶のなくなる前のお前は料理人だったのかもな。」
「違うよ。」
「もしかしたらそうかもしれないだろ。」
「違う。」
スプーンを持ったポチがオムライスを見ながらそう言い切る。
覚えてないのに、なんで言いきれんだよ。
「違うんだ。それは覚えてる。…うん。」
「そうか。…なんか悪かったな。」
「ううん。それくらい美味しかったってことかな、照れちゃう。」
「都合いいやつだな。」
パッと笑顔になるポチを見て少し安心する。
…何か、思い出したのかもしれない。
また落ち着いたらちゃんと調べてやらなきゃな。
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