アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
8
-
冷たいお茶を飲み干して本題を切り出す。
聞きたいのは関係なんかより…この、環境のことだ。
「写真、見せてもらったのですが…コレは何かの店ですか?」
「ええ。経営の事情により詳しくお話は出来ませんが。看板娘が急に行方をくらませてしまい困っています。」
「それなら何故、警察じゃなく俺に?」
「貴方は金さえ積めば必ず見つけ出してくれると聞きました。…ソレに我々も貴方も表向き良いものでは無い。お似合いでしょう?」
「あぁ…そうですね。」
警察に言えば、自分に良くないって事か。
まぁそれは俺も同感だ。
…とはいえ、一つ返事で受ける訳にはいかない。
コレを受ければポチを金で売ることになる。
「それで、受けて頂けますか?」
「…すみません。今回はお断りさせて頂きます。少し不穏な匂いがするので。」
「そうですか。…残念です。とても。」
佐々木の目が俺をじっと見てそう言った。
恐ろしく冷たい声だ。
茶に浮かんだ氷がカランと音を立てたのが合図のように佐々木がその場で立ち上がった。
「それでは失礼します。写真はお好きにご処分下さい。」
「あぁ、わかりました。玄関まで送ります。」
「お気遣いありがとうございます。」
堅苦しい言葉に小さく頭を下げ玄関まで向かい送り出す。
…これで隠し通せるわけじゃない。
本当に探しているのなら何らかの方法で探し出すだろう。
これから気を付けていかないといけない。
佐々木が玄関で立ち止まると俯いて黙り込む。
「…どうかしました?」
「素敵なスニーカーですね、若々しくて貴方の雰囲気からは似つかない。多趣味なのですか?」
「あぁ、実は普段はラフな格好を好むんです。パーカーとか、あと柄物とか。髪もガッと上げてね。」
「そうでしたか、素敵ですね。…それでは。」
「えぇ、暑い中どうも。」
「こちらこそ。失礼します。」
佐々木はそう言って玄関を出て門を出るともう一度頭を下げた。
俺も同じように頭を下げ玄関の戸を占める。
心臓がドクドクと音を立てる。
ポチのスニーカー。
青いスニーカーは確かに俺が履くには似つかない。
…あんたの方がよっぽど探偵に向いてんぞ、佐々木さん。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 149