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お風呂場の中、膝を抱えて目を閉じる。
遠くから怖い人の声が聞こえてくる。
怖い人の声と探偵さんの声が交互になって気持ち悪い。
「ん、っ…」
思い出したくない事が頭に浮かんで消えていく。
嫌だ、今は忘れていたいのに。
"SEVEN、いいか?お前は……"
頭が痛くて丸まってギュッと目を閉じる。
俺は 俺の名前は
ポチで 探偵さんのお世話係で。
家事をしてお留守番をして。
それだけ。
忘れた、他は全部忘れたから。
もう何も思い出せなくていいから。
"逆らったら どうなるかわかるな?"
ごめんなさい
ごめんなさい
"ここから出たら 一生地獄が待ってる"
"逃げ出せば 死ぬより酷い目に遭わせてやるからな"
ごめんなさい
ごめんなさい
助けて、ううん 助けてなんか言わない
ここにいさせて お願い
「おい、出てこい。」
「…ひ、っ…!?」
「…どうした?虫でもいたか?」
バスタブの中から誰かの顔を見る。
覚えてる この人は探偵さんで。
ここはお家で。
この人は優しい人だから大丈夫。
「おいどうした。体調でも悪いか?やっぱり風呂場で待機はダメだったか、これからはデスクの下にしよう。」
「…ううん、大丈夫。寝てた。」
「寝てた?よくこんなトコで寝れるな…ほら、眠いならベッドで寝ろ。腰やられるぞ。」
「んー…そうする。探偵さんはお仕事終わったの?」
「あぁ。依頼は断ったしな。」
「え、…断ったんだ。」
探偵さんの言葉に驚いて言葉を忘れる。
どうして…?
「ほら、早く立て。眠いなら寝て元気な状態でうまい飯作ってくれ。」
「えへへ、任せて!今日は何にしようかなぁ。」
頭の中は真っ白でおかしな感じなのに声を上げて笑った。
だって、今日来てたあの人は…?
夢の中に置いてきた小さな記憶がクルリと回った。
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