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真夏の朝、セミの鳴き声。
俺は今 何故か町中を走り回っています。
「ミルー!ミルちゃんー!」
探偵さんとは別行動で猫を必死に探す。
暑くてヘトヘトだ。
首から下げた水筒にはたっぷり水が入っているけれど、固くて開かない。
探偵さん力強いから…
「んん…ミルちゃーん、出ておいでー!あんこもー!」
三毛猫のあんこと白猫のミルを探して何度も名前を呼ぶ。
言われた通りポイントを周回するけどなかなか見つからない。
確かに他の猫はいるんだけどなぁ…
「…暑い、喉乾いた。」
もう駄目だ、と道の端に寄って何度目かの水筒チャレンジ。
グググ、と精一杯に力を入れてもビクともしない。
必死に水筒と戦ってると目の前に大きな影ができる。
…誰?
「水筒、開けようか?」
「え、本当です…か…」
顔を上げたのと同時に手から水筒がすり抜け首にガクンと衝撃が走る。
目の前にはスーツの男の人。
…俺が、苦手な人。
「困ったな、新しい飼い主は水筒の開け方も教えなかったか?これは上に引っ張っても開かない。回すんだ。」
「…は、ぃ……」
「そんな顔をしなくてもいい。」
その人は水筒を取り上げると簡単に開けてしまう。
そして、飲み口を覗き込むとポケットから小さな包み紙を取り出した。
「忘れるな。…お前の体は、支配されてる。」
「……、…っ…」
包み紙の中身の白い粉がそのまま水筒の中へ入れられてしまう。
元通りに蓋を閉めると俺の手に返される。
声が出なくてただ 俺はその人を見上げていた。
「…逃げられると思うなよ。」
その言葉と同時に鳩尾へ拳がめり込む。
響くような痛みに襲われ、体が崩れて視界が歪む。
痛い、痛い、痛い。
「また迎えに来る。」
「……ぃ"、っ…あ"、…」
苦しくて地面に座り込む。
息がうまくできない。
その人はそんな俺に構わずコツコツと靴を鳴らしてどこかへ行ってしまった。
苦しい、痛い。
助けて欲しい 助けて欲しいけど
誰にも 知られたくない。
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