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冷たいお茶を飲んでしばらくすると家のインターホンが鳴った。
…もうミルの飼い主さんきたのかな?
机の上にコップを置きっぱなしにして駆け足で玄関へ戻っていく。
「飼い主さん?」
「あぁ、そうみたいだな。」
「もうお別れか…寂しいなぁ。」
「ここの家の猫はよく家出するからな。また依頼が来るかもしれないぞ。」
「そうなんだ。…またどこかで会えたらいいね、ミル。」
玄関で餌皿を綺麗に舐めているミルの顔を覗き込む。
ミルとあんこを見比べてもミルは痩せてて何だか可哀想。
…それに、なんだろう。
ずっと下を向いてる。
「こんにちは、お世話になってます。」
「いえこちらこそ。猫、この子で合ってますか?」
「ええ。おいでミル。」
飼い主さんがミルへ手を伸ばすとミルの体がビクリと跳ねて俺の後ろへ隠れてしまう。
…どうしたんだろう。
「ミル?」
「おい、捕まえて渡してやってくれ。」
「あ、はーい。…うわわ、逃げないでミル…、!」
手を伸ばそうとするとそのまま部屋の奥の方まで逃げてしまう。
人見知り…なのかな。
どうしよう、と探偵さんと依頼者さんへ目を向けてびっくりした。
依頼者さんの顔が怒っているみたいで怖い。
「悪いが捕まえてきてくれるか?」
「…うん。」
探偵さんにそう言われて部屋の奥へ向かう。
入ってすぐ、ベッドのある部屋の端で小さくなってしまっている。
…帰りたくないの?
「…ミル。」
ゆっくりと近付いて片手を伸ばす。
固まっていたミルが俺の手に頭を擦り付けて、次に小さな舌で舐めてくれた。
くすぐったくて、でも嬉しくて。
捕まえようとしたら逃げるのにどうして今は逃げないんだろう。
「帰りたくないの?」
向こうに聞こえないように小さな声で話しかけてみる。
当たり前だけどミルは何も言わない。
よく見るとなんだか毛並みが悪くて目垢が溜まっている。
もしかして 可愛がってもらえてなかった?
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