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密偵
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深夜、どこへ行こうかと宛もなく町を歩いていた。
…まぁ行くとこなんて一つしかないが。
携帯を取り出し発信履歴から電話をかける。
「要、今行っても大丈夫か?」
『もちろん。こんな時間に来るなんてワクワクしちゃうね。』
「残念だが談笑するつもりはない。話したいことがあるんだ。」
『また依頼かい?君、人使いが荒すぎるよ。』
「詳しくは直接言う。命に関わる事なんだ、頼んだ。」
『わかった。美味しい水道水を用意して待ってるよ。』
「期待はしないでおく。」
要が完全夜型人間でよかった。
要の家まで歩いても約10分程度だ。
夜中の人通りのない道を歩いて要の家まで向かう。
要の家まで来るとインターホンも押さずに勝手に中へと上がり込む。
いつものことだ。
中へ入り足の踏み場のない家をアスレチックみたいに進んでいく。
俺も人のことを言えないが、もう少し片付けるくせをつけて欲しい。
「やぁ、いらっしゃい。」
「…ゴミ屋敷にいらっしゃったぞ。」
「酷いな。全部大切な情報だよ。さ、座って座って。」
「どこに座れと…?」
要の指差すあたりにはノートパソコンと大量の紙、それから謎のぬいぐるみで埋め尽くされている。
どう見ても座る余裕はない。
「そのぬいぐるみをどけて座ってぬいぐるみは抱けば問題なし。」
「…なるほどな、そういうシステムか。」
「そう。…さ、談笑する暇はないんだろう?君がそんなに切羽詰まっちゃう話を聞かせてよ。」
パソコンから顔を上げた要がそう言って心底楽しそうに笑った。
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