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電話の向こうの寝ぼけた声に吐き気がする。
誰がユキ君だ。
…大体こういう寝ぼけている場合は寝る直前まで詰めて仕事をしていた時に決まっている。
という事は、あの薬を調べ終えたってことか?
「おい、…それで頼んでたのはどうなった?」
『もちろん完璧に調べあげたよ。ふわぁ、…ホントは寝起きにしたくない話なんだけどね。』
「…そんなに深刻なことか。」
『深刻、というよりも物騒なものだよ。今すぐ手放したい。』
「どういう事だ?」
要が咳払いをしたかと思うと急に声を潜めて1言
『これ、媚薬なんて可愛いやつじゃないよ。…拷問用のだね。』
とだけ言った。
拷問用…?
なぜ、ポチが拷問用の薬を飲んでいるんだ?
それは自ら進んで?…意味がわからない。
隠れていつも飲んでいたってことか?
『どうせなんか考え込んでるんだろうけど落ち着いてよ。君の硬い頭じゃ解決出来ないことさ。』
「お前はわかってんのかよ、…っ」
『わかんないよ。全部はね。でも大方の予想はつくさ、君だって悪いように考えてるんだろう?』
「…よくは考えられない。」
『あはは、それで充分さ。…また今度詳しく話そうよ。そこにポチ君もいるんでしょ?それなら今すべきことがあるよ。』
そう言われて振り返る。
後ろには牛乳を飲みながら真剣に料理番組を見るポチ。
…目を離した隙に薬を飲んでしまうかもしれないってことか。
『馬鹿な君でもわかった?…監視も飼い主の仕事だよ。』
「…その言い方はやめろ。」
『あはは、それじゃまた待ってるからおいでよ。』
「あ、おい…っ」
もう少し詳しく聞いてやるつもりだったのに勝手に電話を切られてしまう。
…どっちにしろポチの前じゃ詳しくは聞けないか。
「探偵さん見てみて、揚だし豆腐って言うんだって。美味しい?」
「あ?…あー、美味いな。」
「よし、今日はこれにしよ!」
コイツが本当に拷問用の薬を飲んでいる…?
目の前で無邪気に笑うポチを見て、俺は信じることが出来なかった。
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