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あのね
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お風呂を出て頭からバスタオルを被ったままリビングへ向かう。
探偵さんと顔を合わしたくない。
合わせたらもっと嫌われるかもしれない。
フラフラとリビングは入ると探偵さんがため息をつく音が聞こえた。
「……ハロウィンはまだ先だぞ。」
「はろうぃん…?」
「お化けの仮装でもしてるのかって言ってるんだ。」
「かそう…?」
「…いやいい、頭のタオルを取ってこっちまで来い。拭いてやるから。」
「うん。」
いつも通り拭いてくれるんだ、と嬉しくなる。
慌てて頭のタオルをとってソファに座った探偵さんの前に座る。
この時が一番幸せなんだ。
「なぁポチ、俺はお前のこと何も知らない。お前も覚えてないことは知らないだろ?」
「…うん。」
「でも俺が知らなくてお前だけ覚えてる事だってあるはずだ。俺はちゃんとお前を知っていたい。お前が知られたくないことまでは…まぁ、問いただす気は無いが。」
「じんもんしないんだ。」
「…尋問?どこでそんな日本語覚えたんだ。」
「要さんが言ってたよ。」
「アイツか…」
優しく髪を拭かれて目を閉じる。
嫌われるのは怖いけど、探偵さんの隣にいると怖いことはすぐなくなっちゃう。
ずっとここにいたい、このままいたいって思えるんだ。
だから…
「あのね、…俺少しだけ隠し事してる。でも言ったらきっと探偵さんには嫌われちゃう。」
「嫌わない。」
「絶対嫌いになる。」
「絶対嫌わない。」
「ぜーったい嫌いになるもん。」
「ならないって言ってるだろ。俺はこう見えて筋は通すタイプなんだ。」
「うぅ…でも、…」
膝をぎゅっと抱えて丸くなると探偵さんがわしわしと頭を撫でてくれる。
ずっとこのままがいいんだ。
何も変わらなくたっていいんだ。
「言いたくないか?」
「…言うのは怖いよ。」
「なら、今は言わなくていい。いつかポチの口から聞かせろよ。」
「言わなくていいの…?」
「あぁ。…お前が言ってた、尋問。それはしない。」
「ふふ…嬉しい。」
振り返って探偵さんを見上げて笑う。
いつか、綺麗になったら。
隠し事しなくてもよくなったら。
全部 全部お話させてね。
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