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ここはどこだったか。
よく見知った部屋の中で片手にクレヨンを持ったままぼーっと目の前を眺めていた。
…俺、何してたんだ。
『ユキ君。今大丈夫?』
声が水の中みたいに揺れて聞こえる。
俺はその声に頷くと、大人に連れられた子供が同じ部屋へ入ってきた。
でも、その子供の顔は黒く塗りつぶされて見えない。
『今日から家族になった──君だよ。』
音がよく聞こえない。
誰だコイツは。
あれ、空間が歪んで音が歪んでいく。
ここは 夢の中か?
「……ポチ。」
「わん。」
目を開いた先に真ん丸に目を開いたポチが俺を見つめていた。
…近い。
体が妙にだるくてそのまままた目を閉じるとポチの手が俺の目に触れた。
「なんだ。」
「怖い夢見た?」
「……そういや夢見てたな。なんだったか、忘れた。」
「そっか…探偵さんでも忘れちゃうんだ。」
「夢は覚えてる方が少ないだろ。」
「そうなの?」
「そうだ。」
二度寝でもしようかと息をつく。
どんな夢を見たかさっぱり思い出せない。
怖い夢を見たわけじゃないと思うが、なにか懐かしい夢を見ていたような気がする。
思い出せないままどんどん眠気が迫ってくる。
「ねぇ、探偵さん。」
「……なんだ。」
「それなら 俺の前のことは夢だったりしないかなぁ。」
「…夢は体に痕を付けない。」
「うん、……そうだよね。」
うっすらと目を開きポチの頭を撫でる。
お前のこと ちゃんと守ってやらないとな。
今のこの日常が夢にならないように。
「ハグしていい?」
「…あぁ。」
「ふふ、温かくて気持ちいいね。」
「真夏だけどな。」
俺より小さな体を抱きしめて目を閉じる。
お前も俺もいい夢を見れるように
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