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少女
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深い眠りの中にいたはずなのに、すぐ側から携帯の着信音が聞こえてくる。
…電話だ。
わかってはいてもそう簡単に夢から出ては来られない。
しばらく着信音を聞いたままウトウトと夢と現実をさまよっていく。
「探偵さん、電話だよ。」
「……ん。」
「電話だよー!!」
「ん、……」
「要って書いてあるよ。」
「…要、…?」
その声で目が覚める。
アイツが電話をかけてくるのは大概、なにか調べていたことがわかった時か晩飯を食べに行こうくらいだ。
ポチが来てから飯の誘いは全部断ると宣言したからおそらく前者だろう。
無理やり体をたたき起こし携帯を耳へ当てる。
「……はい。」
『あれれ?寝起き?』
「何の用だ…」
『相変わらず寝起きは機嫌悪いねえ。前に頼まれてた家出少女、居場所がわかったよ。』
「本当か?」
『もーちろん。でも、思ったより厄介でね。君にどうにか出来る問題じゃないかもしれない。』
「ただの家出じゃないのか?」
『人攫いだね。命に関わる。』
「……そうか。」
この依頼は少女の両親からだった。
親子喧嘩になり家を出て言った娘が数日たっても帰ってこない、というよくある家出のはずだったが街中探してもなかなかに見つからなかった。
要へ依頼をした時"これは見つからないね"とだけ言われたのを覚えている。
人攫い、命の危機ってことならそれも頷ける。
…さぁここからが俺の仕事だ。
「いくらだ。」
『20でいいよ。』
「10。」
『18が限度だね。』
「15。」
『うーん。』
「今度ポチ一日貸してやる。」
『乗った。』
このポチの1日に三万の価値があるかどうかは分からないが無事値引き成功だ。
話の内容がわからず不安そうに俺を見上げるポチの頭を撫でてやる。
久々に、真面目に働くとするか。
『20分後、君の家に行くよ。その帰りに一日借りていくから。』
「…早速だな。わかった。茶も飯もないが待ってる。」
『はーい、よろしく。』
電話を切りフゥ、と息を吐く。
忙しくなりそうだ。
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