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椅子に座って広げられたファイルをのぞき込む。
中には同じ歳くらいの女の人の写真、いくつかの写真とたくさんの文字。
要さんが女の人の写真を指さしてお話を始める。
「まずは情報まとめ。彼女の名前は山上 ナル。高校二年生の現在17歳だよ。今年の5月に両親と口喧嘩になったあと家を飛び出して以来行方不明。家出だと思われていたけれど音信不通に痕跡なし。
ここまでが今までわかっていたことさ。間違いない?」
「あぁ。」
「ポチ君も理解出来てる?」
「…少し。」
「なら大丈夫だね。」
要さんの指がファイルをめくって次のページに変わる。
次のページにはよく見えない写真と、またたくさんの文字。
探偵さんが小さく唸る声が聞こえた。
「簡潔に説明するよ。この写真は闇風俗だね。体の一部を失った子達がいる事で有名らしい。流出したものを保存して拡大したから画質が良くないけれど間違くナルちゃんだ。」
「経緯は?」
「少し前にタチの悪い誘拐犯が逮捕されたんだけどすぐに釈放、その後も報道はされなかった。それを調べてる時に繋がったんだけどね。
その誘拐犯は攫ったあと特殊な風俗…まぁそういった店に売る業者だったんだ。その店について調べたところナルちゃんが見つかったのさ。」
「…なんですぐに釈放された?」
「君は本当に推理力が無いなぁ。国が隠すことは国に都合が悪いことさ。十中八九国のお偉いさんが常連なんだろうね。欠陥フェチ、なんてのも今じゃ珍しくないから。」
話が難しくて全然理解できない。
二人とも話すスピードも声のトーンもいつもと違って別人みたい。
話はわからないから仕方なくよく見えない写真をじっと見てみる。
暗い部屋に赤い光。
目に包帯…吊るされてるのかな。
「って事になると面倒だな。金で解決が一番楽だが一般家庭に人ひとり買い戻せる金は無い。」
「だろうね。」
「…取り返しに行くか。」
「いけるの?危ないよ?消されちゃうよ?」
「依頼主に後で直接聞いてくる。今回は多少料金増しだな。」
「ねぇ。」
「ポチどうした?」
探偵さんを見上げて呼びかける。
「危ないところ、行くの…?」
「依頼だからな。」
「…でも危ないところだよ?」
「大丈夫だ。心配するな。」
探偵さんの大きな手が俺の髪をワシャワシャと撫でてくれる。
くすぐったくて、気持ちよくて嬉しい。
はずなのに。
悲しくて寂しいよ。
…どうして、危ないところってわかってるのに行っちゃうの?
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