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「俺、やだよ。」
ポチが首をブンブンと振って俺の手を振るう。
弾かれた手を空中へ浮かせたままポカンとポチを見下ろす。
不安そうに眉を下げるそんな顔みたことなかった。
「やだって言われてもな…」
「探偵さんが怖いのも辛いのもやだ。」
「だって、探偵さん。」
「でもなポチ。仕事は仕事だからな。」
「じゃあ俺が断る…!だって、だって…っ探偵さんがもしいなくなっちゃったら俺嫌だもん…っ!」
ポチが泣きそうな顔で俺を見上げてくる。
だからと言ってわかった、と引き下がる訳にはいかない。
それは我儘で大人、特に俺のいるようなとこでは通用しないことなんだ。
ポチはそれを知らない。
「お前が俺がいなくなるのが嫌だって思ってくれるのと同じくらい、この子の親はこの子のことを思ってるんだ。…それなら俺はこの子を助けてやる義務がある。」
「俺だって探偵さんを助ける…ぎむ?があるもん…っ」
「お前にはその義務も権利はないんだ。俺とお前はただの他人だから。」
「…難しい言葉使わないで。」
「あぁ、…だから。」
不貞腐れたように目をそらすポチの頭にぽん、と手を置く。
これは仕事で ポチの言うことは我儘で。
それなら何を優先するべきかは明確だ。
第一
守るべき命の優先順位がある。
「ポチが嫌でも、どうにもならない事があるんだ。それが今だ。」
「…やだ。」
「その言い方はないんじゃないかなぁ?ポチ君だって君の事を思って言ってる訳だし…」
「それはありがたいが我儘が通用しないのはお前もわかるだろ。」
「でも僕だって君のやり方には賛成できないよ。実際、何度も危ない目にはあってるんだ。強行突破でどうにかなると思ってるの?」
「…それは。」
要が冷たい目で俺を見てくる。
ポチは泣きそうな目で俺を見上げてくる。
だから俺は
人と関わるのが嫌いなんだ。
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