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空気がどんよりと重くなる。
これだから頑固な探偵さんは大変だ。
泣きそうな顔をしているポチ君をこのままにしておく訳にはいかないし、かと言ってこの仕事を無理やり辞めさせる訳にもいかない。
2人とも言ってることは間違えてはないからね。
「何か作戦を立てよう。僕も手伝うから。」
「良い案が浮かぶとは思えない。」
「1人で突撃するよりきっとマシだよ。でも、今は…とにかく皆頭を冷やそうか。今日は解散にしよう?」
「…あぁ、そうだな。」
ポチ君の頭をヨシヨシと撫でては探偵さんの顔を見る。
二人共の気持ちを尊重してあげたいけどなかなか難しそう。
本当、みんな僕がいないとダメだなぁ。
「ポチ君。今日は僕のお家にお泊まりだよ。お泊まりに必要なものを家中からかき集めておいで?」
「…はい。」
「よし、よーいスタート!」
俯いたまま寝室のタンスへ向かうポチ君を見てふぅ、と息をつき目の前で眉間にシワを寄せる探偵さんへ目を向ける。
コレはコレなりに悩んでる訳で。
「君は昔から変わらないね。」
「…何がだ。」
「人のことなーんにも考えないで自己中心的なところ。あと、肝心なところをちゃんと伝えられないところ。」
「全く心当たりがない。」
「そういうとこだよ。ポチ君はただ君を失いたくないだけなんだよ。そんな気持ちは君だって痛いほどわかるだろう?」
「…わからないな。」
「君はもう1人じゃないんだ。そういうこと、早く自覚するべきだよ。」
肩肘をついてますます眉間にシワを寄せると大きくため息をついた。
1日頭を冷やせばきっとお互い分かり合えるだろうし気持ちも伝えられるはず。
「準備、できました。」
「よーし流石ポチ君は優秀だね!」
「ゆうしゅう…?」
「とってもいい子って意味だよ。さ、いこうか。」
「…はい。」
机の上の荷物をまとめてカバンへ詰めるとポチ君の片手を握って立ち上がる。
リビングの出口まで来て振り向き物騒な顔を向けてくる探偵さんへ手を振る。
「それじゃ、明日の夜には来るから。」
「…あぁ。」
「行ってきます。」
俯きがちなポチ君の手を引いて歩き出す。
この子について調べること、話すこと、やることが沢山あるんだ。
一日じゃ足りないくらい。
「よろしくね、ポチ君。」
「…よろしくお願いします。」
アイツのためにも僕が頑張らなきゃ。
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