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捜索
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要さんに手を引かれて辿りついたのは、大きな一軒家。
小さな門が開いて中へ招かれる。
俺はただ手を引かれるままついていく。
「おいで、足元注意してね。」
「…はい。」
「リビングへ行こっか。何が飲む?」
「お水、お願いします。」
「はーい。」
ぬいぐるみや玩具がたくさん転がった廊下を進んでいくとカラフルでキラキラなお部屋にたどり着く。
あちこちにぬいぐるみが転がっていてほとんど足の踏み場はない。
「そこ、うさぎが座ってるところ座ってね。うさぎは抱いてあげて。」
「はい。」
「お水お水ークマさんのコップとネコさんのコップどっちがいい?」
「えっと…ネコ、で。」
「おっけー。ネコは好き?」
「好きです。…可愛いし、人懐っこいから。」
「そっかそっか。僕も好きだよ!」
そう言って要さんがネコさんのコップに入ったお水をくれる。
お辞儀をしてお水を一口飲むと、目の前で笑顔で俺を見つめる要さんをじっと見つめ返す。
「ぬいぐるみ、好き…なんですか?」
「うん大好き!いくらでも買っちゃう。1人でもこれなら寂しくないからね。」
「そうなんだ…可愛い、ですね。」
「でしょでしょー?アイツは嫌がるけどね。そうだ、好きなの一つ持って帰ってもいいよ。僕と君との友好の証さ。」
「いいんですか…!?」
「ふふ、もっちろん!」
つい笑顔になっちゃう。
だって、こんなに可愛いのを貰えるなんて思ってなかったから。
キョロキョロと部屋中を見回して大好きな子を探す。
みんな、可愛くてすっごくキラキラしてる。
「あ、…っこれ…」
「うん?あぁネコだね。」
白いふわふわの猫のぬいぐるみ。
それは、少し前に出会ったミルにすごく似ていて。
ぬいぐるみを抱き上げてじっと見つめる。
…ミル、元気かなぁ。
「その子にする?」
「…いいの?」
「うん。その子もポチ君に気に入ってもらえてすごく喜んでるよ。」
「要さんはこのこの声が聞こえるんですか…?」
「そう!その子だけじゃなくてみーんなの声が聞こえるよ。ふふ、ポチ君には聞こえない?」
「…聞こえない。ミル…、ええと迷子の猫…の声は聞こえたのに。」
「そっかぁ、それじゃあと1歩だね。」
要さんがニコッ、と笑って猫のぬいぐるみの頭を撫でた。
少し要さんは怖かったけど、きっとすごく優しい人なんだ。
だって こんなに人やほかの生き物や物を大切にしてるから。
「名前は何にする?」
「ミル。」
「決まりだね。ミル、可愛がってもらうんだよ?」
「…よろしくね、ミル。」
要さんともミルとも仲良くなれたら…いいなぁ。
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