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俺はあまり他の人と馴染めなかった。
理由はすぐにわかった。
愛想がなくて、人の気持ちがあまり理解できない。
別に嫌がらせをしたり無視をする訳じゃない。
1聞かれた1しか答えないし、必要最低限しか会話しなかったからだと思う。
そんな俺に最初は話しかけてくれていた子供も大人もすぐに相手にするのをやめた。
「…俺は、どこの誰なんだ。」
誰も教えてくれなかった。
いや、聞いたわけじゃないけれど。
聞いたところで誰かが知っている保証はなかったし、答えられて納得できる自信もなかったから。
俺はいつも学校から帰ってくると自分の部屋に閉じこもっていた。
ただ、窓の外を見ながら雲を眺めるだけ。
それだけ。
施設の一番角の部屋、二人部屋の部屋には俺しか生活してなかった。
誰も俺と同じ部屋にはなりたがらなかったからだと思う。
そんな毎日の中、俺は自分の中に少しでも記憶が残ってないかと疑うようになった。
何でもいいから何かを知りたい。
強く思い出そうとするとズキズキと頭が痛んだ。
それでも、もっともっとと強く記憶を追うとほんの少しだけ過去に触れることが出来た。
「…赤い。」
そんな 曖昧な記憶。
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