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それから、俺達はたくさんの話をした。
要がここに来る前にここで起こった事や、要が見てきたものの話。
色んな話をしたけれど、お互い、お互いが知られたくなさそうな事は聞かなかった。
例えば、要の髪や包帯のこと。
例えば、俺の記憶や過去のこと。
例えば、俺達がここで嫌われ者であること。
俺達は妙に子供らしくなくて、気持ち悪かった。
でも
俺達はそれで充分だった。
のに。
「人殺し!!」
学校の帰り道、そんな声が後ろから聞こえたのと同時に要が前へ倒れた。
俺は慌てて振り向くと上級生がもう一度
「人殺し!」
と叫んで逃げていった。
要が人殺しなわけが無い。
そうなのに、俺は上級生へ何も言い返せなかった。
言い返せないまま、倒れた要へかけより血の出る頭を抑えた。
赤い。
「要、…」
「僕は平気だよ。…ユキ君、大丈夫?」
「…赤、…血、…?」
「…ユキ君、目を閉じて。見なくていいんだよ。思い出さなくていいんだよ。」
俺は何が起こったかわからなかった。
要の頭を抑えて傷口から出る血を止めようとしただけなのに。
血を見るだけで、ドクドクと心臓がなって体が動かなくなる。
血、血。
見たことある。
俺の記憶にあるあの血は
誰の
「ユキ君。」
「…今、何か……」
「思い出さなくていいよ。」
「要はなにか、知って…?」
「うーん、しーらない!でもね。ユキ君が悲しそうな顔をするのは嫌なんだ。だから思い出さなくていいの。ね?」
「でも、俺は…」
「…帰ろう、ユキ君。」
要は首をかしげて笑った。顔を半分隠した包帯に血が染みて赤くなっていく。
怖い
何かを思い出せそうなのに思い出せない。
血
髪、誰かの叫び声。
『ユキ、…逃げて。』
逃げる?
「待ってユキ君、…っユキ…」
「……怖い。怖い、から…」
気が付いたらその場から逃げ出していた。
後ろから聞こえた要の俺の名前を呼ぶ声。
俺は振り向けなかった。
もう、赤い血を見たくなかった。
まだ 何かを思い出すのが怖かった。
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