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年を重ねても俺と要は世界から嫌われていた。
二人ぼっちの毎日は、もう今更珍しくもなかったけれど。
要は茶と金の混ざった髪を伸ばして一つにまとめていたから余計に周りから距離を取られていた。
俺は、多分見た目だけは他の人と変わらなかったけれど持ち前の無愛想な性格なおかげでとても好かれてるとは言えなかった。
俺達は二人セットで変人扱いされて学校の中で孤立していた訳で。
中学、高校と同じ学校へ進みそろそろ進路へぶち当たる頃。
「ユーキ君、今日は屋上でご飯の日?」
「あぁ、そうだな。」
「寒そうだねぇ。」
2人で誰もいない屋上へ上がり、だだっ広い空の下端っこへ寄って座り込む。
俺たちに用意される弁当もある訳もなくいつも朝食のご飯を半分残して中にオカズを入れて丸めて持って来ていた。
2人してそんな簡易飯を食べていると、要が急に真面目な顔をして自分の顔を指さした。
「ねー。君は小さい頃から俺に何か聞いたりはしなかったけど、コレの事気にならなかった?」
「包帯のことか?」
「うん。」
「…気にならなかったってことは無いが、聞く気は無かったな。四六時中一緒にいる俺にすら見せないってことは知られたくなかったんだろ。」
「まぁそうだけどね。皆引っ剥がしてでも見たがるのにーと思って。」
早々と昼食を食べ終えた要は風に揺れる髪をサラサラと手で解いていく。
俺はぼーっもそれを見ながら会話の続きを考えていた。
「それで、今更なんでだ?」
「なんとなく。見たい?」
「顔が半分機械とかならやめろよ。」
「あはは、そんな訳ないよ。君ならこんなのを見たって嫌わずにいてくれるんじゃないかと思っただけ。折角の機会だし…いいかな。」
そう言うと要は髪から手を離して頭の後ろへ手を回す。
解けた包帯は少しずつ宙に舞って、今まで一度も見たことのなかった要の顔を顕にした。
伏せた目。
長い髪に隠れた隙間から、爛れた肌が見えた。
「…気持ち悪い?」
「痛く、…ない、のか?」
「もう神経はないからね。痛くも痒くもないよ。」
「理由は聞いても…いいか?」
「あの施設に行く前にいた学校でね。僕は嫌われ者だったから。押さえつけられて…こう、塩酸をプシャーッとね。」
「…塩酸…!?」
その言葉に鳥肌が立つ。
頭があまり良くない俺でも知ってる。
目の前で、太陽の光に照らされてニッコリと笑う親友の過去を俺は一切知らない。
いつも 笑顔で俺を支えてくれていた。
俺はただ言葉を失って震える手で、要の頬へ触れた。
爛れた肌はもう何も感じない。
そう分かっているけれど優しくその頬を撫でた。
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