アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
10
-
なんとなく、嫌な気分になってポチ君の後ろの窓を見た。
空は夕焼けでもうすぐ夜みたい。
「さ、昔話はこれくらいでお風呂に入ってご飯を食べよっか。」
「はい。」
「先に入っておいで、着替えは持ってきてるよね?」
「はい。」
「ゆっくり入ってきていいよ。何かわからない事があったら聞いてね。」
「あ、あの…要さん。」
「ん?なあに?」
少し一人になりたくてポチ君をお風呂へ急かす。
と、それを引き止めるように申し訳なさそうにポチ君は僕の手を引いた。
「探偵さんには家族は…いないんですよね?」
「そうだよ。」
「俺には?」
「うーん…いない、とは言いきれないけど今の時点ではいないね。いない方が可能性は高いんじゃないかな。」
「それじゃ、…要さんは?」
子供の純粋な質問。
わかってる。
ただ、わからない事を聞いてるだけだって理解してる。
「…僕は、……居たんだよ、昔は。」
「いなくなっちゃったの?」
『要。』
「…ええと、……」
『要だけはまともな人間のままでいてね』
「…要さん?」
「僕の、家族は……」
思い出せ
嘘を つけ。
「今は海外旅行に行ってるのさ!海外ってわかるかな、遠いところ。そこに遊びに行ってるからなかなか会えないけど…ちゃーんといるよ。」
「そうなんですね。お風呂、入ってきます。」
「うん。いってらっしゃい。」
無邪気に笑ったポチ君へ手を振る。
僕の家族
僕の家族はもう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
114 / 149