アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
7
-
店内を回っていると、ポチが急に足を止めた。
俺も止まり横の売り場を見るとここはお菓子コーナーだった。
「おい、どうし……」
どうした、と声をかけようとした時ポチの向こうから小さな子供と母親の声が聞こえてきた。
「ママ、このおまけ付きのお菓子が欲しい。」
「え?昨日も買ったでしょ?」
「お願い!お手伝いいっぱいするから!」
「うーん…わかった、一つだけね?」
「やったぁママありがとー!!」
そんなどこにでもいる親子の会話。
ポチはじっとそれを見たまま、親子がレジに向かっても動かなかった。
…お菓子が欲しいのか?
「…ポチ。」
「ぇ、…あっ…ごめん、ぼーっとしちゃった。冷凍うどん探しに行かなきゃ。」
「お菓子、いるか?」
「え?…ううん、大丈夫だよ。」
そう言うがまた目線が向こうへ向く。
微かに聞こえてくる子供の声が「ママ」と呼べば、「どうしたの?」と優しい母親の声が聞こえてきた。
あぁ、欲しいのはお菓子じゃないのか。
「俺はお前の母親にはなれないが…お菓子くらいいくらでもやるし、呼べば返事だってしてやる。母親と変わらないくらい毎日近くにいる。」
「…ううん。俺、母親っていうのは忘れちゃったけど…探偵さんがいてくれたら他になんにもいらないよ!」
ニッコリといつも通りに笑うとまた前へ歩き出した。
俺はコイツに母親を教えてやれないし、寂しくないようその代わりになるくらいで充分だ。
俺もコイツも母親を知らないんだから。
***
こんにちは、らいおんです。
今日から更新再開しました。
またお世話になります*
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
128 / 149