アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
8
-
もうすぐ夜になる夕焼けを二人で並んで歩いていく。
ポチは横で何か知らない鼻歌を歌い、俺はそれを聞きながら袋を揺らす。
外から見れば友達にも家族にも見えない俺達は少し歪かもしれない。
「それ、なんの歌だ?」
「お昼の料理番組で流れる歌。」
「あぁあの番組か。意識して聞いたことなかった。」
「意識?」
「ちゃんと聞いてないってことだ。」
「なるほど。俺は意識して聞いてた!」
ポチはふんふん、と首を振ると嬉しそうに笑った。
毎日少しずつ知識が増えていっているらしい。
知らない言葉を覚えるとすぐに使いたくなるタイプらしい。
本当に、子供らしいな。
「なぁ、お前は俺がいなくなったら悲しいか?」
「うん。すごくすごく悲しい。」
「…そうか。」
「どうして?いなくなっちゃうの?」
ポチは足を止めると、泣きそうな声でそう言った。
振り向き顔を見ると今にも泣き出しそうな目をしている。
俺は手を伸ばしポチの髪を優しく撫でた。
「いなくならない。危ない事をするから気になったんだ。お前が悲しむ事はしない。」
「本当に?いなくならない?」
「あぁ、約束する。明日も明後日もその次も…こうやって買い物に来るし夜は一緒に寝る。飯も食べるしテレビも見る。」
「よかった。そしたら俺、いっぱい嬉しいよ。」
ポチはそう言うとうれしそうに笑った。
単純なやつだ。
「手、繋ぐか?」
「うん。」
ポチの俺より一回り小さな手を握った。
俺が傍で守ってやらないとな。
優しく握り返してくる手を俺は家まで離さなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
129 / 149