アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
慌ただしかった無線がキーンと音を立てる中、僕らの視界に見慣れた影が現れた。
それと同時に
『発砲許可。』
と声が聞こえ、見慣れた彼の後ろに知らない誰かの姿が見える。
だめだ、撃たないで。
そう思った時、声に出るより先。
パン、なんて軽い音を立てて空を割いたソレは大切な彼の足を貫いてそのまま姿を消した。
「ぁ、…あ……要、さ…っ…」
「…僕はミドリだよ、青くん。」
「血、!!血が、血が出、て…っ!」
「そうだね。」
「死んじゃう、死んじゃいます、あのまま…っ死、死んで…っ…」
「落ち着いて。脚を撃たれただけじゃ人はすぐにはしなない。」
パニックになるポチくんを宥めながら僕はじっと前を見た。
それは彼も同じだった。
僕らは目を見つめたまま次の事を考えていた。
ナルちゃんを見捨てる?
そうすれば彼女は殺される。
けれど、このままここに居続けても探偵さんの血がどんどんなくなっていくだけだ。
「やだ、…っ死んじゃう、ねぇ…!なんで、帰ろうよ…っ、早くしないと死んじゃうよ…!?」
「死なない。すぐには死なないから、少し黙れないかな。」
「死ぬの!!俺、知ってる…知ってるから言ってるの、死んじゃうから、死んじゃうの…!!」
うるさい、と横を見ると涙をボロボロ流して僕の服を引っ張るポチ君がいた。
なんでそんなに必死なの?
君は何もしていないのに。
君にとってあの人はまだただの他人なのに。
…死んだってなんにもなったりしないのに。
「殺したく、ないね。」
隣の子の気持ちはこれっぽっちも理解出来なかったけど、その思いだけは同じだった。
でも
死なせない方法がもうなかった。
彼の後ろに立ったボーイはもう銃口を彼へ向けていたから。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
139 / 149