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次の日。
流石に自転車で学校行こうと思ったさ…でも、タイヤがパンクって何なんだよ⁉︎大殺界か、姉貴の呪いとしか思えない。
で、結局…
いつもの学校帰り。
いつものバス。
いつもの運転手。
いつもの声。
「はぁ…」
いつもと違う事と言ったら…
座った席。
あんな忘れ物をしてしまった事が恥ずかしくて、出来るだけ運転手さんの目につかないように、一番後ろの席に座った。
こんなに眠りを誘うほど心地良い声も、今日は違って聞えて全く眠くならない。
一個、また一個と、バス停が終点に近付いて行く。
何人か終点まで人が残っていてくれたら、そのうちの一人として、どさくさに紛れて降りられたのに今日に限って終点まで残っていたのは俺だけだった。
『終点です。お疲れ様でした』
バスが止まり、重い足取りで出口まで向う…
頼む、頼むからあの忘れ物の事には触れないでくれ。
「今日は眠らなかったみたいだね」
運転手さんはマイクを外して、そう微笑んだ。
「あ…はい…」
急いで降りようと思ってたのに、運転手さんからの突然の問い掛けに思わずそう返事をした。
「そう言えばこの忘れ物、キミのだよね?」
そう言って運転手さんがおもむろに取り出したのは、例のBLCDの入った袋だった。
みるみるうちに、身体中が沸騰してしまうんじゃないかと思うほど、真っ赤に染まって行くのが自分でも分かる。
「そ…それ…俺のじゃないです」
次ぎの瞬間俺の口をついて出たのは、そんなバレバレな嘘だった。
「あれ?でも昨日、あの席キミしか座ってなかったはずだよ」
う…
「中身…見ました?」
「うん。見たよ…今時の男子高校生ってこういうの好きなんだねー」
ぎゃーーッッ!!やっぱりそう思われた…何なんだ、この羞恥プレイは!!
「ち…違うんです!これは姉貴からの頼まれ物で…だから、俺が欲しくて買った訳では断じて無いんですっっ!」
俺は、拳を握り締め必死にそう訴えた。
「そうなんだ…残念」
え…?
あの、今何て言いました?
そう言おうと口を開きかけた時…
「そう言えば、名前なんていうの?」
運転手さんにニコリと微笑まれ、そう問い掛けられた。
「…宮坂…晴紀…です」
「へぇ…晴紀くんて言うんだ。俺は多賀遼一」
多賀…遼一さん…
名前初めて知った。
「じゃあ晴紀くん、また明日ねー。気をつけて」
呆然と頭の中で運転手さんの名前を繰り返している俺に、多賀さんはヒラヒラと手を振りながらそう言った。
「あ…はい…また明日…」
俺はそう言って小さく会釈をすると、階段を駆け降りた。
名前を呼ばれた事、名前を知った事が嬉しくて…
ドキドキした。
そんな自分に恥ずかしさを覚えて、昨日と同じ様に家までの道を全速力で走った。
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