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7その後の2人…
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あれから俺は多賀さんの事をいろいろ知った。
26才だっていう事。
ドライブと釣りが趣味だっていう事。
オムライスが好きで、酢豚の中のパイナップルが嫌いな事。
歌が上手い事。
犬より猫派だっていう事。
鎖骨にホクロがある事。
それから…それから…
「晴紀くん、こっち向いて」
多賀さんが…意外と、羊の皮を被った狼だったって言う事。
「っ…恥ずかしいから嫌です///」
「もっと恥ずかしい事いっぱいしたのに?」
ベッドの上で多賀さんに背を向けた俺の背後から、笑みを含んだ声でそうからかわれた。
「そう…ですけど、汗かいてるし髪もボサボサだし」
それに、あんな所とかこんな所も見られて、触られて、自分でも訳が分からないぐらい感じる様になって…
「目も真っ赤だし、声もガラガラだし?」
多賀さんは楽しそうに俺の言葉を勝手に続けた。
「多賀さん///…からかわないで下さ…」
ーギュッー
後ろから抱き締められれば、それだけで体中がざわつく…
「からかってないから、こっち向いて晴紀くん」
う、そんな風に耳元で名前呼ぶの反則だよ…
「………はぃ」
俺が怖々と体ごと多賀さんの方へと向けると俺の頬を多賀さんの両手が包んだ。
「本当に目、真っ赤だ…一杯啼かせてごめんね」
多賀さんの唇が俺のまぶたに小さなキスを落とした。
「別に…怒ってません」
俺は恥ずかしさを隠す様に、多賀さんの胸元へ頭をすり寄せた。
『現実は小説よりも奇なり』って、よく言うけれど、本当に俺と多賀さんが、いわゆる恋人同士になるなんて思ってもみなかった。
「へへ…」
「どうしたの?」
「何かまだ多賀さんとこういう事になったのが信じられなくて…こういうのって、マンガの中だけだと思ってたから」
俺は多賀さんと出合って今までの事を思い返しながら、そう言った。
「マンガって…‘あの時のCD,みたいなマンガの事?」
「う…確かに、そういう事もありましたね…あははは」
多賀さんにそう言われて、あの時の映像が鮮明に頭に浮かぶ。そう言えばあの時、俺が忘れたBLCDを受け取る時、気になった事があったんだけど…
「あの、多賀さん?そう言えば俺、気になってた事があるんですけど…」
「んー?」
「多賀さんが俺に、CD渡した時、あれが姉貴のだって分かった時‘残念,って俺に言ったのって、どういう意味だったんですか?」
何だかまるで、多賀さんがBLが好きで、俺もそういうのが好きだったらいいのに…って言われてるみたいで、違和感があったのを覚えてる。
「…あれ?俺そんな事言ったっけ?」
「言いましたよ。もしかして多賀さんあの時から俺の事狙って…?」
俺は、怪しげに多賀さんの顔を見上げた。
「さぁ…どうだろうね?おっと、もうこんな時間だ。そろそろ寝ようか」
多賀さんは腕時計がついてもいない腕を見て明らかに、はぐらかした。
「はぐらかさないで下さい」
そうふてくされる俺を多賀さんがギュッと、なだめる様に抱き締めてくれる。
「いつもさ…晴紀くんの寝顔に癒されてた。それが、好きだって感情かどうかは分からなかったけど…」
「俺も、多賀さんの声に…癒されて…」
やっぱり多賀さんの声って…凄く…
…す…き…
「…晴紀くん、さっきの話しだけど、俺……あれ?晴紀くん?」
気がつくと俺の可愛い恋人は、気持ち良さそうに腕の中ですぅすぅと寝息を立てて眠っていた。
「寝ちゃったか」
晴紀くん。俺、本当は初めから自分の気持ちに気付いてた。
だけど、俺は大人で、大人は年を取れば取るほど我慢したり諦める事を覚えてしまう、強い様で弱くて、ズルイ生き物なんだ。
だから、晴紀くんが勇気を出して俺に会いに来て、告白してくれた時、すごく嬉しかった。
大人の俺には出来ない事だったから…
あの時、晴紀くんの全身全霊の勇気を、俺は全て受け止めようと誓ったんだ。
ありがとう。
俺の事を好きになってくれて…
「おやすみ」
朝になったらキスで起こしてあげる…
―end―
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