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今日も満員電車の中をギュウギュウに押し潰されながらもどうにか息をしていた。僕は地味に普通の大学に行って普通の企業に就職した。そう、普通が一番良いのだ。
今日の夕飯は昨日の残りでいっか。
あ、人が少なくなった。これで少しマシに息ができる。
そんなことを考えていると僕のバックを持っていない方の手がいきなり掴まれた。
「この人痴漢!」
………え?
周りの人の視線が僕に刺さる。僕の手を掴んだ女子高校生は僕に軽蔑の視線向け、その友達は僕を思いっきり睨んでいた。
「この人私のお尻揉んできた!!」
あれ、揉んだっけ?確かにあの状況だったら触っちゃったかもしれない。というか、こういう場合はどうしたらいいんだろ。
僕が黙っていると周りの視線はさらに強くなる。
「何か言いなよ!」
「あ、あ……ぅ」
怖い、怖い怖い怖い……周りの視線が刺さり、女の子からは話せ話せと急かされる。
僕は思わず下を向いた。
「そこまでだ」
俺の腕を掴んでいた女の子の手が解かれた。
「きゃ、イケメン…あ、あのぉ…私!この人に痴漢されてぇ、どうすればいいかわかんなくて…」
女の子の声が先程の棘の入った言葉から甘える声音に変わった。僕は隣に立っている男性の顔を見ることが出来ずに下をずっと向いていた。
「何言ってるか分からないがこいつは痴漢なんかできるたまではない。そもそもそういうところは淡白で、痴漢なんて絶対にしないが?」
こいつ?え、待って…もしかして知り合い?
僕は恐る恐る顔を上げた。
「な、んで?」
なんで…なんでこいつがここにいるんだ!!?
「久し振りだな。聖…」
探したよとでも言うような言い方が気持ち悪い。
「は、離せ!気持ち悪い!!」
俺はちょうど停車した駅で降りた。
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