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寿はタキを睨んで声を上げる。
「隣国の皇子が来る前にさっさと逃げるぞっっ!!」
寿だけが逃げても、もしタキが捕まれば想像を絶する拷問にかけられて自白を迫ってくるだろう。
それだけはどうしても避けたい事態だ。
寿の従者となった時から寿と運命共同体。
タキもそれをわかっているはず。
「違うのですっ!寿様っっ!!」
「何が違うというんだっ!!身の危険が迫っているんだぞっ!?いいから離せっっ!!」
寿は窓枠に片足をかけて飛び降りようとするが、タキが寿の腰に両手を回して必死に止める。
「違うのです!!隣国の皇子は寿様を捕虜や脅しに使おうなんて思っていません!ましてや殺すなんてもっての他ですっ!!」
二人の視線が絡み合う。
しばらく無言で見つめあっていたが、寿はタキの言葉をようやく理解して、寿は窓枠にかけていた片足を下ろした。
それを見て安心したかのように、寿の腰に回されていたタキの両手も離れた。
「…じゃあなんで隣国の皇子がこの城にやってくるんだ?ああっ!?王宮の見学会でもやっているのかっ?!」
「違います。冷静に聞いてください」
「俺はお前より落ち着いていると思うがな!」
寿は鼻で笑いながら軽口を叩くが、タキはそんな挑発には乗らず小さく息を吐いた。
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