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「御意。この命にかえてもお伝えします」
タキをそう言って、颯爽と部屋を出ていく。
タキの背中を見送りながら、眉間に皺を寄せたままクスリと笑う。
「大袈裟だな、タキは…!」
寿は顔を上げて静かに瞳を閉じた。
何も物音一つしない静寂…。
じぃやと過ごした五年、タキと過ごしたこの十年。
そしてあの人と過ごした六年…。
(この城で過ごすのも最後、か…)
寿はゆっくりと瞳を開けて、歩き出す。
寿が向かった先、そこは十年間近付くことができなった部屋…。
このドアを開けるのは十年ぶりになる。
ノブに手を掛けた時に、自分の手が震えていることに気付く。
寿は息をスーッと吐いて震えている手を片方の手で押さえながらノブを引くと小さく音を立てて、ドアが開く。
ドアを開くだけなのに緊張して手汗がびっしょりだ。
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