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隣国
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隣国へ向かう馬車の中で寿は息をひそめていた。
タキは時折窓から外を覗いてちゃんと隣国に向かっているのか、手元の地図で確認していた。
馬車がようやく止まり、寿が馬車から降りると皇子が出迎えてくれる。
「……待って下さっていたのですか…?」
「俺がそうしたかったから待っていただけだ。寿が気にすることはない」
「あっ…」
皇子が城の中まで寿の手を引いて、城の玄関のパタンと閉じられる。
(これで後戻りは出来ないな…)
後戻りする気なんて全くなかったけど、ドアの閉めた音がやけに生々しく寿の耳に残る。
ふと視界が明るくなる。
「え?」
皇子が寿の被っていた帽子を取って、馬車を降りた時から寿の後ろをついてきていたタキに帽子を渡す。
「気にしないでいい。ここで働いている者には寿のことは話している。この城で寿はのんびりと暮らせばいい」
にっこりと言う。
そして皇子が急に耳元で囁く。
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