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「寿の部屋だ。好きにしたらいい」
「…ありがとうございます」
寿は頭を下げる。
「それにあのカーテンは単なる願掛けだったのだ…」
「…願掛けですか‥?」
「ああ、桃を反対にするとハートの形になるだろう」
寿は頭の中で桃を反対にしてみる。
(ハートに見えなくもないが…)
それがどうした、というのが寿の素直な気持ちだ。
「俺に対する寿の気持ちが早くハートになりますように、と桃にしたのだ」
(はっ…?)
冗談を言っているのかと思ったが、皇子は真剣そのもの。
「寿のカーテンもハートにしたかったのだが、それは露骨すぎるとコウと話し合って、桃のカーテンにしたのだ。あ、俺の部屋のカーテンはもちろんハート型だがな!」
皇子は微笑むが、寿はしばし呆気に取られる。
(……この皇子、バカなのか…?)
一国の皇子をつかまえてバカとは失礼なのはわかっているが、思考があまりにも乙女過ぎる…。
「寿‥」
吐息混じりに名前を囁かれる。
あ、ついにか…、と寿は思う。
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