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「寿様!」
「え?」
マユが寿を連れてきたのは、庭の奥方にある目立たない小さな広場だった。
マユがさっきから広場で何かを探していたみたいだった。
それがようやく見つかったみたいで、寿に差し出す。
「四つ葉のクローバーです。持っていると幸せになれるのですよ」
寿は眉に皺を寄せて微笑んだ。
「ああ。ありがとう!」
寿はマユが探してくれた素直に四つ葉のクローバーをもらう。
「四つ葉のクローバーなんて早々見つかるものじゃありません。きっと寿様に幸せが舞い降りますよ!」
(幸せね‥)
寿はもらった四つ葉のクローバーをでクルクル回す。
「きっと皇子が幸せを運んでくれますわ…」
マユのその言葉に、寿は困惑したように笑う。
「だって皇子は寿様に送る王冠を作るのに、一生懸命だったですもの!」
(ああ、そんなことをコウも言っていたな…。ということは王冠の作り方を皇子を教えたのは…、)
そういや皇子も、王冠はある者に習って作ったと言っていた。
「…皇子に教えたのはマユか?」
「そうですわ」
マユは草木を集めて、靴を脱いで両足と右手で器用に作っていく。
「皇子は不器用なので、なかなか教えるのは大変でしたわ…」
マユはうんざりしたように首を振る。
「でも、やっぱり皇子は優しい人です」
「え?」
「だって一ヶ月もかけて寿様のことを思って、悪戦苦闘しながらも作っていましたもの」
寿はまたもやマユの言葉に困惑してしまうが、マユはそんなことも知る由もなくにっこりと笑う。
その笑みはまだ子供らしさを残している。
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