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「それでも俺は寿に恋をしていることに後悔なんてまったくしていないのだ…」
皇子が少し照れくさそうに言う。
「…寿、前言撤回をしていいだろうか…?」
「‥え?」
「皇子たるもの前言撤回するなんて格好悪いが、寿の前では、俺はただの一人の男だ」
昨日、同様に皇子が真剣な瞳で寿を見つめてくる。
だからこそ寿も皇子の視線から外せなくなり、胸も熱くなって鼓動が速くなる…。
「格好悪くて臆病な俺の姿を寿には知っておいてほしい…。…俺のすべてを寿に見てほしい……」
皇子が格好悪いとはまったく思わない…。
皇子としての立場として前言撤回するのはどうかと思う。
だけど今、目の前にいるのは一国の皇子として寿の前にいる訳じゃないから…。
「寿が俺は好きだ。いつでもいい。寿も俺を好きになってくれ。俺は寿が好きになってくれることをずっと待っている」
そして皇子は目尻を下げて優しく微笑む。
「いつかは俺の前で寿の本当の笑みを見てみたい」
(‥、本当の笑みって、こういう笑みなのか…)
皇子の笑みを見て、寿は純粋にそう思った。
皇子はコウの前でもこんな風に笑わないだろう。
きっと寿の前だから、皇子は本当の笑みを見せてくれる…。
『本当の笑みは本当に愛する人で見せれば良いのです』
ふとタキの言葉が甦る。
皇子の笑みで、本当に寿愛してくれていることが寿にも伝わってくる。
自分にしか見せない皇子の笑み。
そう思うと優越感が込み上げるのも事実…。
でもそれ以上に寿の胸にはやっぱり不安と焦りを込み上げてしまう…。
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