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(……俺もいつか皇子みたいに笑えるだろうか…?いつか皇子の前で笑いたいけど…、)
寿は布団の中でグッと握り拳を作った。
「焦らなくていい。いつか寿も笑える」
皇子はなぜ気付いたのだろうか…。
布団の上から寿が作った握り拳をそっと皇子は包む。
「それに寿には俺がいるから安心していい」
寿はその言葉に目を見張る。
昨日までの弱気な皇子はどこにいってしまったのか…。
昨日と今日で全く違う皇子の姿に、寿は耐えきれずに眉間に皺を寄せたままクスクスと笑う。
「それでいい」
寿の髪の毛を撫でながら、皇子はなぜか布団の中に入ってくる。
「‥なにをしてるんだ?」
「なに、って一緒に寝るのだろう」
さも当然といったように皇子は言う。
(…本当に昨日と違う。昨日のあの皇子は可愛かったのに…)
可愛かった…?
寿は瞬きを繰り返す。
皇子が可愛い…?
自分の胸に湧いた感情に、寿は乾いた笑みを浮かべる。
「今、出ていったらバカにされるのであろう?」
皇子が意地悪な笑みで、昨日寿が言った言葉を言う。
「バカにされてこい!」
寿が皇子を蹴るが、やはり皇子なので力を入れることはできない。
皇子はクスクスと笑いながら、寿の後ろから力強くギュッと寿を抱き締める。
「おいっ…!」
皇子に抱き締められた瞬間に、全身に火がついたように熱くなるのを寿は感じる。
でも背中から感じる皇子の体温が心地良い、とも思ってしまうのはなぜだろう…。
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