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「…んっ‥」
寿が目を冷ますと隣にあったはずの温もりは消えていた。
寿は気持ちが急に重くなって、気だるそうに身体を起こす。
(皇子は帰ったのか…)
部屋を見渡しても皇子の姿はなく、昨夜の出来事は夢だったのではないか…、
と寿が疑ってしまったその時、隠し扉が開く。
寿は隠し扉の方に視線をやって、思い切り眉を顰める。
「おはよう、寿!」
なぜか隠し扉から出てきたのは皇子だった。
皇子はお盆を持っていて、お盆の上には不細工なおにぎり二つとお味噌汁。
「お…、おはよう‥」
一応寿も挨拶を返すと、皇子はテーブルにお盆を置く。
「……あのさ…、…そのおにぎりは、もしかして皇子が握ったのか‥?」
タキが握ったとしては不細工すぎるおにぎりだ。
「ああ、よくわかったな!俺が握ったのだ!」
皇子は満面の笑みで言う。
「寿の好きな食べ物を知りたくて、タキに聞きに行ったのだ!そうしたらタキが皇子が寿様の朝ごはんを作りますか?と言ってくれたので、俺が作ったのだ!」
(タキ、皇子になんてことをやらせているんだ…)
寿はベッドの上で頭を抱える。
「おにぎりというのは力加減がなかなか難しいな。少しでも力を入れたらすぐに固くなってしまうし、力を入れなかったらボロボロになってしまう。塩加減も難しかった。なかなか奥深い料理だ」
寿はハッと顔を上げる。
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