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ようやく寿がバスケットをやめて休憩をとったから、皇子も図書館から駆けつけたというところだろう。
「バスケットは初めてか?」
「‥え?ああ」
「寿、バスケットは一人でも遊べるが、基本的には皆で遊ぶものだ。今度、バスケットが好きな者を集めて遊ぼう」
寿はその言葉に胸がギュッと痛くなって、そしてものすごく恥ずかしくなる。
それを皇子に悟られないように、寿はごしごしと乱暴にタオルで顔を吹く。
寿の幼い頃はじぃやと遊んでもらっていたが、じぃやが足を悪くしてからは、寿はずっと一人遊びだった。
寿には一人で遊ぶのが当たり前だった。
だって寿にはオトモダチはいなかったから…。
母もタキも寿の自立性を重んじて、積極的に寿とは遊んでくれることはなかった。
母とタキの気持ちはわかっていたから、寿は文句は一切言わずにいつも庭で一人で遊んでいた。
さっきの皇子の言葉は、
一人で遊ぶのは当たり前じゃない…、
と、何だか遠回しにそう言われたような気がして…。
今まで自分がずっと一人で遊んできたことを皇子には隠しておきたい気持ちになる。
今までオトモダチがいなくてずっとたった一人で遊んできたことを皇子に知られるのが、なぜかとても恥ずかしい…。
そんな思いになったのは、初めてで寿はどうしていいのかわからない。
(…。もう皇子にはバレているのに…)
寿を迎えに来た時から寿がどんな状況で育ってきているのか、皇子はもうわかっているはずなのに…。
それでも皇子には、今まで一人で遊んできたことを知られたくない、と寿はとても強く思ってしまう。
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