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皇子と出会う前はどうやって日々を過ごしていたんだっけ…?
どうやって一人で寝ていたんだっけ…?
皇子と過ごした日々より、一人で過ごした日々の方が圧倒的に長いのに、なぜか一人の時を思い出そうとしても、思い出せるのは皇子の笑顔と皇子の体温だけだった。
だからこそ余計に皇子が恋しくなってしまって、なかなか寝つけにくい。
寿は嘆息をつく。
(皇子が無事なら、それでいいけど…)
皇子が連絡してこないのはわかっている。
皇子が寿に連絡しているところを誰かに見つかれば、ややこしいことになってしまう。
皇子が一刻も早く無事に帰ってくることを願うだけ。
それが今の寿が出来ること…。
一輪車の練習を早々に切り上げた寿は部屋に帰る。
ああ、今日の見張り番はジョージだったな、と思うとまた気分が落ち込む。
部屋の前ではジョージは相変わらず冷たい視線を送ってくるが、寿は気丈に振る舞って部屋に入る。
「うわっ!」
寿が部屋に入ると、生きた大きな蜘蛛が部屋を徘徊していた。
寿は驚嘆しながら、部屋を見渡す。
蛛が一匹だけなのを確認してから、その蜘蛛をじっと見る。
どうやら毒を持っている蜘蛛ではないらしい。
寿は雑誌の上に蜘蛛を乗せてやると、窓から蜘蛛を外に出してやる。
そしてテーブルの上には『早く死ね!』と書かれた紙と置いてあったコップの水が真っ赤になっていた。
「…どうしたいんだよ?」
ジョージが見張り番の時にしか嫌がらせはない。
これでは自分が犯人です、と言っているのものではないか…。
(…どうしたらいいんだ…)
赤い水を見ながら、自問自答してもやっぱり答えは出なかった…。
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