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「どうかされましたか?皇子」
皇子が一人でタキの部屋に訪ねてきて、タキは驚いていたが顔にはまったく出さない。
「単刀直入に聞くが、寿は泣いたことがあるのか?」
タキは嘆息をついて核心をついてきたな、と思う…。
裏を返せばそれだけ二人の距離が縮まったということ。
「なぜ、そんなことを私にお聞きになるのですか?」
タキの身分で、皇子にこんな風に挑発するような聞き方をしていいわけがない。
だけど、タキには寿を守るために聞く必要があるから…。
タキの言葉に皇子は、嫌な顔を一つせずに頷く。
きっと皇子もタキが寿を守るために、こんな言い方をしているのだとわかっているからだ。
「俺は、六日前に本殿に呼ばれた。一か月前に出逢った少年とその少年につけていた従者が、村人達全員の手によって殺された…、という報告を受けた。…少年はアルビノだった…」
アルビノ。
それは色素が薄いため肌が白く、目も赤く、髪の毛も白い。
この国でも、もっとも忌み嫌う存在…。
寿とタキがいた前の国でもアルビノ狩りなんて言葉があるぐらいだ。
「俺は一ヶ月前、公務でこの国の農村部に行った。その村の村長が俺に、今から面白いものをお見せしましょう、と言って、俺と従者達を納屋に連れて行かれた」
タキは黙って真剣に皇子の話を聞く。
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