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皇子が嘆息をつきながら、首を振る。
「自分達と違う肌と目と髪の色だから…。…そんな理不尽な理由で人を殺していい理由になる訳がない。いや、どんな理由であれ人を殺してはならぬ…。この国では差別がひどすぎる。それをこの事で実感した。…この国の恥じる問題点だ。その問題点を解決するのが現陛下と俺の責務だと改めて思った…」
タキは小さく頷く。
それは寿とタキがいた国も同じこと。
自分達と違う肌、目の色、髪の毛の色だから…。
そんなバカけた理由で寿はずっと幽閉されている。
「一人残らず村人達には殺人を犯したとして、厳正なる罰を与えることにした。…あと厳かに少年と従者を埋葬した。…それが今の俺に出来る少年と従者に対してのせめての報いだ」
タキは何度も大きく頷いた。
きっとその皇子の想いは少年と従者に届いているはずだと、タキは信じている。
「……。だから帰るのに遅くなってしまった。帰るのが遅くなった理由は寿には言えないがな…」
きっと寿が皇子が宮殿に呼び出された理由を知ってしまえば、寿の心は傷付く。
ずっと寿といたタキは知っている。
寿は人の痛みをわかってあげられる優しい心の持ち主…。
だからこそ、時には少年と従者が受けた傷を、自分が受けたかように寿の心は傷付く。
だけど寿はそれを誰にも悟られないように普通を振る舞うだろう…。
そんな純粋で優しくてとても繊細な寿の心を、タキは知っている…。
そして皇子もそんな繊細な寿の心を知っているから、寿には帰るのが遅くなった理由は告げないでいる…。
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