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タキは、従者自分一人になったからといって、特に気負いはなかった。
なぜなら、
「従者といっても、ほとんど従者らしきことはしておりません。やることといえば寿様に教養や帝王学などを教えることでした」
タキが寿に教える事はそれぐらいだった。
「寿様のお母様は、寿様に家事やお金の使い方や一般常識など厳しくお教えになられておりました。きっと寿様がどんな状況になっても生きられる人間になってほしかったのでしょう。そのお母様の願いは叶っております。寿様がありがとう、とどんな時でもどんな人間にでもお礼を言うのはお母様のお教えです」
そうか、と皇子は優しく笑う。
「ああ。礼を言われるものはいいな。こっちまで気持ちがよくなる」
よく皇子も下の者に礼を言われるが、それは社交辞令だ。
本心からお礼を言われるとこちらまで笑顔になる、と寿から教わった。
「はい。それもお母様の教育の賜物です。寿様はお母様の厳しさにも涙を見せたことはありませんでした。ただ与えられた課題を黙々とこなしておられました」
その時を思い出すと、今でもタキの胸はギュッとなる。
だからといって甘やかすことは出来ない。
これは重い運命を背負った寿のためだから。
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