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タキは自分の胸を締め付けられるなんて、寿に比べればまだ軽いことだとわかっていた。
「幽閉されたこの城で寿様の一番の味方で、一番の理解者で、そして寿様が一番に愛していたお母様が逝去された今、私が寿様に泣けといっても泣けるだろうか…?…私の声が寿様に届いたとしても泣けはしないだろうと思いました…。…それだけ寿様の悲しみは深いもので、私には決してわからないものです」
一番悲しみにくれているのは寿だ。
その悲しみはタキの想像を絶するもの…。
「私は寿様に表情がなくても返答がなくても、いつも通りに接しました…。…寝る時も寿様お一人にしました。寿様はお母様の後を追うような弱い人間じゃない…。そんな人間にお母様は育てていない、と寿様と寿様のお母様を信じてのことです…」
自分に何が出来るか考えたら、いつも通りに寿に接すること。
最愛の母はいなくなってしまったが、いつもと変わらない日常がここにあることに、寿に気付いてもらうため。
そして寿が、自分の気持ちと向き合う時間も必要だと思ったから…。
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