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「私は憎まれ口でもなんでもいいです。私には寿様に言葉が届かない方が怖いのです…」
憎まれ口でもいい、ちゃんと返事があればいい。
それは寿に言葉が届いている証拠だから。
「眉間に皺を寄せながらでも笑ってくれるなら、私は幸せなのです」
寿が必死に自分で取り戻した笑顔だから…。
だからタキにとっては眉間に皺を寄せながらでも、笑ってくれるのがとても嬉しい。
「…寿様は皇子と過ごすようになって、寿様は少し変わられたみたいです」
タキは笑みを浮かべた。
「この国で、ご自分の事情を喋らないといけない時もありますが、以前はお母様のことは一切喋らなかったのです。…寿様自身のことや、じぃやのことや、私のことについてはよく喋るのに、お母様のことについてはまったくしませんでした…」
タキは小さく息を吐く。
「…ご自分の中でお母様を封印したかのように…。‥まるでお母様がいなかったみたいに……」
タキが間をおいてから、再び口を開く。
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