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そして皇子は満面の笑みで言うのだ。
「寿、俺を幸せにしてくれてありがとう!」
皇子の言葉に寿の目が大きく見開く。
(……俺はありがとうなんて…、)
言われる人間じゃない。
(だって俺は…、)
あの人のことでいっぱいだから。
だから、皇子の気持ちには答えられない…。
(そうだったはずなのに…)
あの言葉を皇子と出逢って、あの人のことを思い出すことが少なくなった。
それはいけないこと…。
皇子と出逢う前は呪いのように毎日、あの言葉を心で唱えていたのに…。
このまま皇子と過ごしていく内に、あの人のことを忘れていくかもしれない…。
寿は皇子の腕からゆっくり離れた。
「寿…?」
(もうちゃんと決着をつけないといけない…)
寿が空を見上げると、雲一つない晴天だった。
寿は覚悟を決めたように瞳を閉じた。
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