アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
皇子の過去
-
「私がタキと出会ったのは従者の訓練所でした。入学する前から試験をパスして入学してくる神童がいるぞ、とものすごい噂になってしました」
コウは淡々と喋る。
「私は今まですべて一番を取ってきた男です。その噂の的になっている人間に、はっきり言って嫉妬を覚えました。各国から優秀な逸材だけを集めても、この訓練所の試験に合格出来る者は、二割も満たないのですから」
寿は表情を変えずにコウの話に耳を傾ける。
「この訓練所を卒業しなければ、従者の資格は与えられません。それだけ従者になるのは難しく名誉なことでもあります。私は神童と呼ばれた男がどんな人間なのか見定めてやろう、と決めていました」
コウは神童と呼ばれている男がどれほどのものなのか…。
ちゃんと自分の目で見定めしてやろうと思っていた。
「入学の日、私は神童に会えることをすごく楽しみにしていたのですが、神童と呼ばれた男は来なかったのです…。次の日も次の日も…。…どうやら神童は私達と違う特別授業を受けているみたいだったのです」
だから余計に神童に興味を持ってしまう。
そして怒りも…。
「はっきり言って腹が立ちました。私達とは同じ授業を受けられないほど、そんなにも神童が偉いのか!と…」
でもコウはわかっていた。
この怒りは嫉妬だ。
今までいつも自分が一番だった。
ちやほやされていていい気分だったのに、神童というどんなに頑張っても、手の届かない人間が現れた。
「そんな時に、授業中に窓からトボトボと歩いている生徒が目に入りました。すぐ私は神童だと気付きました。私は急病のふりをして教室を飛び出して、神童にいた一階までの必死で階段をかけおりました」
無我夢中で、階段をかけおりたのを今でも覚えている。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
178 / 246